お茶はこんなに効く

平成2年6月11日 初版発行
著 者 小國 伊太郎
原 征彦
発行者 中日新聞本社
名古屋市中区三の丸1−6−1
印 刷 凸版印刷株式会社
推薦の言葉
喫茶の起源は中国で、約三千年も昔にさかのぼります。初期には薬効を目的とし たもので、栄西禅師による喫茶養生記には「茶は養生の仙薬、延齢の妙術」とあ ります。一方、お茶の風味を礼讃した中国・晋時代の張載は「芳茶六清に冠たり。 溢味九区に播がる」という句を残しています。
今日、お茶は薬用というより、日常の嗜好飲料として世界にひろく愛飲されてい ます。嗜好飲料はその品質(色、香、味)が重要視され、これについての科学的 研究は国の内外で非常によく行われました。私も30有余年、緑茶、紅茶、包種 茶、烏龍茶など各種のお茶についてその香りを研究して来ました。お茶の香りが さわやかな幸福感をもたらすなどは一種の生理効果とも考えられますが、近年お 茶の効用について「養生の仙薬、延齢の妙術」という観点から、成人病に関連し ての科学的研究が行われるようになりました。
小國、原の両氏はこの分野の第一線で顕著な研究成果をあげておられる茶の科学 者です。本書は茶の生理効果の総てにわたって書かれておりますが、とくに成人 病や老化に焦点をおき、まず、人体生理学、病理学の面から解説され、次いで茶 の特殊成分であるカテキン類(茶タンニン)がどのように働くかのメカニズムに ついて著者らの研究成果を含めて図・表を巧みに配して一目りょう然、わかりや すく説明されています。薬理学的説明と豊富な知識が盛り込まれており、深い興 味を湧き立たせられます。文章も流ちょうで、あたかも名講演を聞いているよう です。通読して感嘆したことを集約すれば「お茶がこんなにも健康維持、成 人病の予防、老化の防止に効果があり、それが科学的によく立証されている」 ということです。
1991年に我が国で初めての「茶の科学に関する国際シンポジウム」が開催さ れます。それを前にして、このような本が世に出されることはまことに意義深く、 価値あることと喜ぶ次第です。
お茶の水女子大学名誉教授 山西 貞