庚申さん
最終更新日  2008.7.31


庚申信仰
庚申講掛金帳
掛金帳
60日毎に来る庚申(かのえさる) の日の夜、東雲寺に於いて行う。
「庚申信仰」に関しては諸説があるが、中国の道教の守庚申というのが、奈良末期に日本に伝来 され、日本固有の信仰と交じり合い発展したのではないかと言われている。仏教が極楽往生を説くのに 対し、道教では現世利益が叶えられるとあって江戸時代には民間信仰として庶民に広まった。青面金剛像 (しょうめんこんごうぞう)をまつり、庚申信仰が受け継がれている。
「庚申(こうしん)さん」と親しみを込めて呼ばれている「庚申」とは、 「かのえさる」のことである。
つまり   十干 (じっかん)、と   十二支 の組合せによるもので、昔は月日をこのように呼んでいた。60通りある組み合わせの一つが 「庚申(かのえさる)」である。したがって「庚申」は60日に一度めぐってくる。
十干十二支
  1. 甲  きのえ
  2. 乙  きのと
  3. 丙  ひのえ
  4. 丁  ひのと
  5. 戊  つちのえ
  6. 己  つちのと
  7. 庚  かのえ
  8. 辛  かのと
  9. 壬  みずのえ
  10. 癸  みずのと
  1. 子  
  2. 丑  うし
  3. 寅  とら
  4. 卯  
  5. 辰  たつ
  6. 巳  
  7. 午  うま
  8. 羊  ひつじ
  9. 申  さる
  10. 酉  とり
  11. 戌  いぬ
  12. 亥  

「庚申」の日の夜には人々は寝ずに一夜を明かす守庚申を行う。 言い伝えによると、人のお腹の中には「 三尺(さんし)(むし) 」という虫がいて、庚申の日の夜に人々が 寝静まってから体から抜けだし、その人がしてきた悪事を 天帝てんてい(宇宙を支配する神) に告げにいくと言われる。すると、天帝が 天の邪鬼じゃき(たたりをする神) に命じてその人に罰を与えるため、人々は三尸の虫が抜け出さないよう寝ずに過ごしたというわけである。
有東木の庚申さんは庚申講という講(組織)が運営している。庚申さんの準備や片づけは、 順に回ってくる当番(6人/組)が行う。写真はその中の一人(帳元)に手渡される掛金帳(会計帳簿)である。 掛金帳は当番が回ってきたことを知らせる役もしている。庚申さんの費用は庚申のある月に常会で 徴収する。

【庚申会(こうしんえ)・庚申待(こうしんまち)
庚申の夜、仏家では帝釈天(たいしゃくてん)および青面金剛を、 新道では猿田彦を祀って、寝ないで徹夜する習俗。その夜眠ると、人身中にいる三尺(さんし) が罪を上帝に告げるとも、命を縮めるともいう。中国の道教の守庚申に由来する禁忌で、平安時代に伝わり 、江戸時代に盛行。(広辞苑)

2000年5月2日の庚申講メモ
スケジュール
@ 06:30 放送(町内広報用拡声器)で庚申講をお知らせする。
”庚申講当番より町内の皆様にお知らせいたします。今夜7時30分より、東雲寺 において庚申講を行いますので多数ご参加くださるようお願いいたします”
A 16:00-16:30 当番各戸から1名ずつが出て東雲寺において準備。
庚申尊関係器具の配置(下記配置図のとおり)、皿や湯飲み等食器洗い。
この時木炭も持ってくる。和尚さまが種炭火につかう。
B 19:00-19:20 当番6名東雲寺集合。
お神酒を供える。蝋燭に火を灯す。
酒・肴の用意(刺身2皿、菓子は三つくらいのお盆に分けておく)
炭火を2台の火鉢に起こす(種炭火は和尚さまが用意してくれる)
C 19:20 町内会長始め参加者11名来たる。当番6名を加え17名となる。
各組の集金係は常会で徴収した庚申講会費を帳元に渡す。
D 19:30-19:40 お経始まる。全員修証義(しゅしょうぎ)を持つ。10分程で終了。
E 19:40-19:50 当番会食準備
供えてあった湯飲み茶碗の水をお茶に替える。
テーブル6卓を長方形に並べ、皿、茶碗、箸等を置く。
お神酒を出席者の茶碗に少量ずつ注ぐ。
F 19:50-20:30 会食、和尚さまも加わる
この時当番は予め練ってある上新粉を直径5cmくらいのおせんべい状にし、 火鉢の炭火で焼き参加者に配る。タレにわさび醤油、生姜醤油等をつける。
G 20:30-21:00 片づけ。
H 21:00-21:10 当番6名で会計精算。
庚申さんでは●掛かった費用は全部皆で平等に分担する●余った菓子等は皆で平等に分け合う ●欲張らず、遠慮もなく、と言い伝えられている。
I 21:15 和尚さんにご挨拶して解散。
J 後日 帳元は徴収した会費の一部を庚申講貯金通帳に貯金
庚申講掛金帳に当番の名前、会費内訳、費用内訳などを記載し次の当番(帳元)へ回す

準備品
イヌサカキの枝、炭(火鉢二つ分)、酒2升(5/2は途中で1升追加し都合3升)、 肴(鰹の刺身2皿、黒ハンペン、菓子2袋)、醤油、醤油差し、生姜(摩り下ろして持って行った)、 上新粉1Kgを練って2分し大と小二つの折敷(オシキ)に載せたもの、茶葉、割り箸、ポット3台、 ふきん3枚、ゴミ袋1枚、台所洗剤、スポンジ2コ、祝儀袋、ビニール袋(小)6枚

配置
配置
黄緑色はイヌサカキの葉、徳利の注ぎ口に一枚、水を入れた中央の茶碗には二葉。 掛け軸は左右一対。
会食用茶碗、皿、箸は庚申専用の収納木箱に納められている。


2006年9月28日の庚申講メモ
二度目の帳元としての庚申さん当番が回ってきた。二度目とは言え6年も前の事なのでほとんど忘れていた。
2000年5月との違いを記す。
  • 参加13名+当番6名、合わせて19名。
  • 当日夕方の準備開始時刻は15:30とした。
  • 夜の当番集合時刻を18:30とした。これくらいだと余裕が持てる。
  • 前回は5月だったため刺身は鰹だったが、今回は鮪。
  • ワサビだけ用意した。
  • 前回、皿は陶器だったが、今回は発砲スチロール製のトレイ、箸は割り箸を使った。片付けが簡単になった。
  • 前回ポットを3台用意したが、今回は2台(帳元が1台、他当番が1台)用意。十分だった。
  • 残った菓子などを分けるために、小さいビニール袋(6枚)があると都合がよい。
  • 配置図のお神酒の位置が誤っていたため図を修正した。

2008年7月219日の庚申講メモ
今回は帳元としてではなかった。気づいた点を記す。
  • 参加6名+当番6名、合わせて12名。参加者が少ない。
  • 掛軸は左右同じものである。
  • ローソクが無かったため急きょお店から2本取り寄せた。
  • 今回も皿は発砲スチロール製のトレイ、箸は割り箸を使った。
  • 今回もポットは2台(帳元が2台)用意。十分だった。

平成16年2月11日 庚申供養祭
    日程
  • 10:00 町内の方々参集
  • 11:00 式典、読経、焼香
  • 11:30 なおらい
                余興(カラオケ、クイズ、福引、お菓子撒き)
  • 15:30 終了

なおらいにあたり庚申当番帳元、町内会長、檀家総代、方丈様のお話がありました。

【町内会長】
今朝は真っ白く雪化粧になりまして、ほんとにお清めをしていただいて、これで気持ちよく庚申さん を迎えられるなぁと思いました。
12年に一度という庚申供養祭。このことについては昨年の12月の庚申さんの時から検討させてい ただきまして中ノ平組の9名と沖組の9名、この皆さんが計画を立てていただきまして、何回か会合を持た していただいて、いろんな事を計画をさしていただいた訳です。そういった中、ただいま除幕をさせていた だいたんですけれども、庚申搭に書かれているように町内安全、五穀豊穣、皆さんのご健勝を祈念申し上げ るということがうたってあるわけです。
今後また12年間本当にこの町内が益々安全で栄えた町内になるように願って今日出席していただいた んじゃないかと思います。本日はご苦労様でございます。
【方丈様】
庚申当番の皆さん、町内の皆さんには色々準備をしていただきましてこうして賑やかに迎えられて大変 よかったと思います。
12年前にも話をした記憶があるんですが、もう一遍思い出しながら話をしたいと思います。
よく若い人から、また他所からもそうですけども、庚申さんっていったい何だや?ということがあって、 何だかさっぱりわかんないけど、庚申さん、庚申さんと言っている。そういう面があったんですが、何だろう かって言われても、これ、ほんとうに専門の研究者でもはっきりは答えられないんだそうです。文献がないん だそうです。どうなって、どうなったかっていうことが、昔からの風俗的なものとか、習慣的なもの、そうい うのが積み重なって、こういう風になったんだということらしいんです。謎が多いとらえようがない事なんだ そうです。
一番の元は中国の道教の習慣っていうか、教えというか、そういう風な中に、人間の中に 三尺(さんし)(むし) がいるって言うんです。三尺虫(さんしちゅう)。三尺の虫ってどん な虫かって言うと、これも困るわけなんです。本を見た所によると二寸ぐらいの大きさで虫の形をしているとか、 いや人間の形をしているとか書いたものがあります。そういう三尺の虫が居て、その虫が、皆が寝ている間に体 の中から出てきて、そして天の神様の所へその人の悪いこととか罪、(とが) とか、そういうものをみんな知らせるというんだそうです。そんな悪いこととかを天の神様に告げられては困る ので、寝ないで虫が外に出ないように眠らないで番をしている。そういうことをやっていたんだそうです。それ が一番の始まりらしいです。これは中国のことなんすけど。
そしてこれが日本へ伝わってきているんしょうね。ところが今ここでもやったんですが、みんながお参りを したんですが、庚申さんて言うと其処に、青面金剛(しょうめんこんごう) っていう、これ、仏さんでしょうけれども、います。その社の真ん中に安置してあるのが青面金剛。その横に 掛け軸がありますが、その掛け軸の正面にある仏像が青面金剛です。ものすごい顔をしていて、手は六本あって、 槍を持ったり、それから弓矢を持ったり、そんなことをしておるんです。これが、もともとは鬼だとか病気を流行 らせる神様だったらしいんですが、それがいつの間にかだんだんそれを追い払う神様だか仏様になったらしいです。
一晩中寝ないでいてもほかにやることがなくて、みんなで話をしたり、歌を歌ったり何かしてたんで しょうけれど、その内に、何かお奉りしなけりゃということで、この青面金剛をお奉りするようになった らしいですね。庚申さんの本尊さんとして奉るようになった。
庚申さんの前に猿が三匹いるんです。それが見猿、言わ猿、聞か猿、そいう三匹の猿がいる。その猿は 庚申さんの使いの猿だそうです。それから、そういう風になって、お寺の中で庚申を奉るのは、この青面金剛を奉る。 だから、お寺で奉っているのだから仏像だと思うわけですが、仏像の本を見ても青面金剛が出ているのは少ないです。
お宮さんで庚申さんを奉っているところもあるようです。そのお宮さんで奉っているのは青面金剛でなくて 猿田彦(さるたひこ)の神を奉っている。猿田彦の神っていうのは 天孫降臨(てんそんこうりん)の時に上から降りてくる時に道案内をした 神様、それが猿田彦の神だそうですね。昔の歴史を教わった人、結構な年輩の人は猿田彦の神っていうのを覚えてい る人もあると思うんですが。
何故申の日にやるようになったかということもはっきりしていなくて何か追い払う日がちょうど申の日 だったから、それをずっとやっているんだとか、いろんな説があって、どれがほんとうかわからないのだそうです。
ご利益、どういうことをお願いする仏様かというと、いろんなことがあるんだそうです。豊作とか、養蚕とか、 福を招くとか、厄除けだとか、あるいはみんなで和合するとか、あるいは良縁とか、健康とか、勤労とか、いろんな ありとあらゆることをお願いしたのが庚申さんだそうです。
有東木でもよく、失くなったような時に、財布を失くしたんだけど庚申さんへお願いしてください、そんな ことでよく来る人がありました。ここへお参りする人がありました。そんな風にいろんなことをお願いする、とに かくこいういう農山村でいろんなことをお願いするのが庚申さんだと、そういうふうな事らしいです。
ところがだんだん世の中進んできまして、そういうことが少なくなってきまして、無くなったわけですが、 有東木ではずっと続けてやってて大変いいことだなぁと思うわけでございます。
ほかの所は聞いてみますと、こういう一つ所にまとまっていないで、隣組みたいな固まりでもって、この掛け軸を 持ち歩いて、今日はこの家だ、その次の時はこの家だという具合に回り番でその宿になった人がご馳走したりしてそこで 一晩やる。そんなようなとこがあるようです。当番になった人が大変なもんだから、だんだんなくなってきて、 この頃そういうのが少なくなっていると、そんなことを聞いたことがあります。
ここは、いつ頃これができたものか、明治かちょっと前くらいにできたものじゃないかと、この前静大の先生が来て そんなことを言っていました。その頃から社にあるので、昔からここでやるようです。そんなようなことで、はっきりして いませんけど、とにかく今言ったような事が庚申さんだそうです。
今日は大勢の方がこうして集まっていただいて、ですから庚申さんを通してみんなお互いに楽しんだり、それから心 を通じ合ったりして、そうして仲良くしていく、そういうようなことが大事じゃないかなと、こんなふうに思います。

8:14
豚汁や酒燗用鍋の準備。7:30から当番の人達が諸々の準備を始めた。

8:13
豚汁の準備。大鍋2つ分。

福引商品一等から六等、参加賞まで。一等薄型TV、二等DVDプレーヤー。総額10万円。

12:38
酒宴。本堂に特設カラオケステージが。

14:11
お菓子撒き。念仏講のようなオマルはありません。

五色の糸。新しい庚申塔と青面金剛を繋いでいる。

青面金剛。左方の五色の糸は庚申塔まで繋がっている。

新しい庚申塔。町内安全、五穀豊穣...、と書かれている。

通常の60日ごとに行う庚申さんは帳元を含め6名で準備する。今回の庚申供養祭(通称:中庚申)は帳元を含め 18名がそれに当たった。

庚申の日には天から降らなければ地から降るというほど雨や雪になることが多いとか。まさにこの朝、雪が降った。 誰も予想していないことだった。日中は暖かく穏やかな日和だった。数年前に植樹された東雲寺のろう梅が黄色い花 をつけていた。
庚申供養祭を行った年は、60日毎の庚申さんはやらない。したがって今年は2月11日1回だけである。12年 に一度とは干支の申年に行うかららしい。ちなみに、60年に一度、通称大庚申をやるのだとか。